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エヴァとフォントにまつわるホントの話

さっき近所のローソンで買ってきたこちら。11.28に発売された、週刊文春エンタ!「アニメの力。」特集号。

人生で初めて週刊誌買っちゃった。アニメの力すごい。

来る2020年6月に「新劇場版」の完結を迎える「エヴァンゲリオン」シリーズの26ページに渡る大特集に加え、押井守監督や細田守監督のインタビューなど、エヴァ好き、アニメ好きとしてはワクワクする内容が目白押しで、しばらく読みふけることになりそうなのですが、せっかくエヴァ雑誌が発売されたので、私も別の角度からちょっと書いてみようかなと。今日はエヴァ劇中で使われている、特徴的なあの明朝体フォントのほんとのところについて、です。

あの極太明朝体、実は買えちゃうんです。

エヴァンゲリオン公式フォント「マティスEB版」外装。新劇場版のポスターを思い出させる文字組みがカッコいい。

まず一つ目のホントの話。

エヴァ明朝、実は買えちゃうんです。それがこの「エヴァンゲリオン公式フォント マティスEB(エクストラボールド)版」。4,600円+税。福岡市博多区に本社を置く「フォントワークス」さんから提供されている書体で、公式のマジもんです。私はこれ、使いたいというより「これでエヴァ明朝が自分のものに!」というオタクならではの所有欲に勝てなくて買ってしまいました。後悔はないです。だってカッコいいから。理由はこれから書きます。

これは外装のスリーブで、中は

入っているのはCD-ROMに入ったフォントデータと、設定資料としてのブックレット

こんな感じ。TV版のネルフマークも入ったデザインです。エヴァって機体や都市の雰囲気などに特徴的なカラーリングがされているけれど、このパッケージは「エヴァっぽい配色」が敢えてなのかわからないけれど抑えられていて渋い。棚に並べて飾りたいレベルです。

個人の作品での使用はOK

ここで二つ目のホントの話。

エヴァ明朝、もとい「マティスEB」、使用許諾は非商用利用に限られていますが、個人レベルであればデザインワークや作品に使用してもOKとのこと。基準を満たしていれば印刷・Web・ゲーム・映像への使用が許可されているので、エヴァ愛の強い個人嗜好の作品作りをして楽しむことができますね。なんて、なんて寛大なんだ〜!

ユーザー登録等も必要なくCD-ROMからPCへインストールしたらすぐ使えるのが便利なところ。フォントの形式はTrueType形式ですが、Windows版 / Mac版ともに収録。ひとつ買えばどちらでも使えるのはありがたいです。

ということで、簡単ですが今回の記事に合わせて作ってみました。制作時間5分ほど。文字詰めやレイアウトの詰めは置いておいても、自分だけのエヴァ明朝がすぐ出来ちゃう。

カタカナばっかりの文字列になっちゃったけど、同じくカタカナのマグマダイバー回好きだからいっか。

エヴァとマティスの深い関係はブックレットで補完を

開封したらうずうずして、まずはインストールしてみちゃうエヴァ明朝・マティスEBですが、一通り使ってみて、ここで同封のブックレットが目に入ります。

放映当時の時代背景と、エヴァとマティスの関係について読み解くための入口のページ。

表紙をめくるとはじめに、「エヴァとマティスの20年」というタイトルから、エヴァとフォントにまつわるこれまでの歩みが綴られています。TV放映は1995年、「時に、西暦2015年」と配されたテロップからはじまった物語は来年で25年。フォントが作品表現と深く結びつき、ともに愛され歩んできた日々のことがこの1冊にぎゅっとまとめられていて、その内容の濃さに「あれ、これもしかして、フォントがおまけだったんじゃないか?」と思うほどです。

アニメ×デジタルフォントで新しい文字表現を

エヴァ放送当時の90年代の日本では、アナログの写植からデジタルフォントを使ったDTP(簡単に言うと、コンピュータ上で文字組みから製版までを行うこと)への移行期でした。

当時のアニメにおける「文字」は手描きの「絵」として画面の中に存在していて、これを「絵」ではなく「文字」として表現するのは、DTP環境やオペレーター問題、放送スケジュールを考えるととても難しいことだったそう。そんな中でデジタルフォントをアニメ作品に導入する環境づくりをいち早く準備していたエヴァの制作会社GAINAX(ガイナックス)と、フォント業界のデジタル移行を先見していたフォントワークスの「マティスEB」との出会いによって、あの極太明朝による緊張感と密度のある印象的な画面表現が誕生したそう。

エヴァブームが起こってからは、フォントワークスへ「エヴァ明朝」に関する問い合わせが絶えなかったとか。あのフォントはなに!?買えるのか!?って。今よりもっとフォントは高価なもので、個人での購入なんてなかなか出来ない時代に、こうやってたくさんの人の記憶に残って刷り込まれていくなんてほんとに不思議ですね。

デザイナーとしてもエヴァファンとしても目からウロコな制作裏話ばかりで勉強になるし、こうした細部へのこだわりによって世界観が支えられていることに、いちファンとしてお礼を述べたい。ほんと、ありがとうございます。

TV版と新劇場版ではフォントが違う!?

時代の流れとともに、フォントの「字形」も細かく変化しています

さいごに、三つ目のホントの話。

このエヴァ明朝「マティスEB」、TVシリーズだけでなく、2007年から劇場公開された「エヴァンゲリヲン新劇場版」でも引き続き使用されています。

私もこのブックレットを読んで衝撃だったのですが、実はTVで使われているマティスEBと、新劇場版のそれとでは、微妙に違うフォントになっているのだとか。これは1995年から2007年の間に起こった文字規格の変化に伴うもので、同じ文字でもディティールに違いのある文字に変更されているのだそう。

このパッケージにはTVシリーズの「クラシック」マティスEBと、新劇場版の「スタンダード」マティスEBの両方が収録されているので、好みに合わせて使い分けまでできる仕様になっています。ファンに優しい、どこまでも慈しみ深い設計に感謝です。ちなみに先に載せた試し打ち画像は、TV版の「クラシック」を使っています。L字表現にはやはりこちらですね(TVっぽくアスペクト比もちゃんと設定すればよかったと今更)。

そんなこんなでエヴァとフォントにまつわるホントの話、いかがでしたでしょうか。来年の新劇場版完結に向けて、またエヴァについては書いていきたいと思っているので引き続き見ていただけると嬉しいです。エヴァ明朝「マティスEB」についての詳細が知りたい方は、下記から飛んでみてください。記事を書き終わったので、しばらく部屋に飾って眺めて過ごそうかな。では、また。

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